創業初期に、当社の大きな飛躍の一助となったのが、「特許帯川三光式乾繭機」でした。
その後、特許帯川三光式2段型乾繭機は通算して約90台が納入されました。
この特許帯川三光式乾繭機の納入台数は、1924年以降に納入されたものを通算すると、日本国内で約310台、朝鮮半島で約80台、合計390台になります。
主な納入先としては、 「長野県片倉製糸紡績株式会社 平野製糸所」様、 「福島県山十製糸株式会社 福島製糸所」様、「静岡県浜松繭市場」様、などに納入させて頂きました。
特許帯川三光式乾繭機の単室型は繭の積載された台車が1台入の箱型小型乾繭機で、トンネル型は単室型を直列に配置したように台車が数台から10数台入りのトンネル型大型乾繭機です。
トンネル型は、乾燥室内下床に繭の積載された台車が移動するレールを敷き、乾燥室両側に4枚羽根の旋風機を対向に設置し、排気口は中央天井部一列に溝型に設け、屋外へは1間(1.8m)おきに円筒で排気する構造です。
熱源方式には火熱式と汽熱式とがあり、火熱式はトンネル乾燥室床下部に焔管(煙道)と給気口を設け、汽熱式は乾燥室床下部に蒸気パイプと給気口および側壁部に蒸気パイプを設け、熱気をトンネル乾燥室に導入する方式です。
また、そのころ考案された特許帯川三光式2段型乾繭機は、帯川三光式火熱型の熱源部である1階の火炉焔管を取り除き、その跡にレールを敷き上室と同じ乾燥室を設けた汽熱式台車棚差トンネル2段型で、おなじ設置面積で上下2室となって、乾燥能力が2倍となり、改造費が割合安いため、非常に好評でした。
その後、特許帯川三光式2段型乾繭機は通算して約90台が納入されました。
台車棚式乾繭機(箱型・トンネル型)は、小理屈は並べるが旧式で田舎向け、人海戦術で作業は手間ばかりかかりますが、今村式自動輸送乾繭機(多段バンド型)は、新式で近代工業都会向け、手間はかからず、能力アップなどができました。
大和三光商会は、今村式より数段進歩した自動式開発と言う大目標に対して、技師長である後藤保次が主担当と決まり、独自のアイディアと理論で新機軸を折り込みながら開発に日夜研究に努力しました。
大和式自動輸送乾繭機(多段バンド型)の骨子は次のようなものでした。
(標準を6段型とし、上段3段は水分の発散が多量であるから、この位置に片側4個ずつ8個の4枚羽根の旋風機を取付ける。)
(チェーンレールは、鉄柱に間座を置いて二重向合わせに取付けて、この間をチェーンは脱線することなく、コロによってスムースに進行させること。)
(ある程度繭の水分が発散した4段5段には、アスベストペーパーを亜鉛板に張付けてZ型につくり、熱源パイプの上に載せて発熱を対流とさせること。)
(最下段6段目の繭出口を延長し、その下面に平置旋風機を4個並置して冷風を送ること。)などいくつかの特徴を備えた最新式乾繭機を目指しました。
1.旋風機を利用すること。
(標準を6段型とし、上段3段は水分の発散が多量であるから、この位置に片側4個ずつ8個の4枚羽根の旋風機を取付ける。)
2.輸送チェーンの脱線防止に二重レールを用いること。
(チェーンレールは、鉄柱に間座を置いて二重向合わせに取付けて、この間をチェーンは脱線することなく、コロによってスムースに進行させること。)
3.熱源パイプの放射熱を一部対流熱に変えること。
(ある程度繭の水分が発散した4段5段には、アスベストペーパーを亜鉛板に張付けてZ型につくり、熱源パイプの上に載せて発熱を対流とさせること。)
4.乾燥仕上り出口に冷却旋風装置を設備し直接袋詰可能にすること。
(最下段6段目の繭出口を延長し、その下面に平置旋風機を4個並置して冷風を送ること。)などいくつかの特徴を備えた最新式乾繭機を目指しました。