日本のエネルギー戦略において、重要なエネルギーの1つに再生可能エネルギーがありますが、その中でも有効な燃料だと考えられているのが「パームヤシ(PKS)」です。
平成27年度において、経済産業省が定める「再生可能エネルギー 固定価格買取制度」の中でも「パームヤシ(PKS)」の調達価格は24円で、調達コストなども考えますと、極めて有効的な素材であると考えられます。
■再生可能エネルギー 固定価格買取制度ガイドブック (経済産業省) http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/data/kaitori/2015_fit.pdf
太陽・風・水・木など、日本にも豊富な再生可能エネルギー資源がありますが、コストパフォーマンスの観点などから、バイオマス燃料として輸入木材、パームヤシ殻などの輸入された燃料は極めて有効的な固定価格買取制度の対象エネルギーです。
「パームヤシ(PKS)」の固定買取価格は、燃料となるヤシ殻の購入費だけではなく、輸入のための輸送費、手数料等を含めても十分に利益が出る価格であると想定されています。
2016年現在、輸入「パームヤシ(PKS)」を用いた大規模バイオマス発電所建設の計画が増えています。
50MW、未利用材、パームヤシ殻、石炭
http://sfc.jp/information/news/2013/2013-10-22.html
49MW、木質ペレット、パームヤシ殻
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2013/0807.html
20MW、石炭火力発電所を転用。パームヤシ殻専焼
http://www.erex.co.jp/news/pdf/press01.pdf
住友林業様
50MW、未利用材、パームヤシ殻、石炭
http://sfc.jp/information/news/2013/2013-10-22.html
昭和シェル石油様
49MW、木質ペレット、パームヤシ殻
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2013/0807.html
イーレックス様
20MW、石炭火力発電所を転用。パームヤシ殻専焼
http://www.erex.co.jp/news/pdf/press01.pdf
一部のバイオマス発電所ではバイオマス以外に石炭も補助燃料として用いると考えられているようです。
温室効果ガス(CO2)の削減から、石炭火力発電所の新設が規制されている中、バイオマスと組み合わせる形であれば、石炭の使用も認められる可能性があるようです。
再生可能エネルギーはそれぞれの地域のエネルギーであり、近年重要だと考えられている地産地消のコンセプトから考えますと、燃料を輸入するということはその地域のエネルギーを奪うという可能性もあるため、その活用には慎重な姿勢が必要ですが、世界の資源を有効活用するという観点からは、「パームヤシ(PKS)」の輸入および再生可能エネルギーとしての活用は、極めて有意義な施策であると考えられます。
たとえば、マレーシアは、世界有数のパーム油生産国ですが、その製造過程で発生する「パームヤシ(PKS)」の大半が廃棄処分され、温室効果ガスであるメタンを大気中に放出しています。
そのような「パームヤシ(PKS)」を燃料として有効活用する再生可能エネルギー事業は、地域の環境保全に貢献できるとともに、CDMプロジェクトとして、CO2排出権獲得が期待できるものと考えられます。
原子力発電所の停止によって火力発電の比率が高まり、燃料費が増加したことで電気料金の値上げが進んでいますが、火力発電用の燃料の中では石炭の単価が最も安く、天然ガスと比べて約2分の1、石油と比べると3分の1程度で済むと考えられています。ただしCO2の排出量が天然ガスを使った場合よりも増えてしまいます。
そこで、CO2の排出量を抑えるための技術開発や実証実験が各方面で進められているのですが、石炭と再生可能エネルギーを組み合わせた「バイオマス混焼発電」もその中の1つです。
この石炭火力発電所では、林業で発生する残材を集めてチップにしてから、石炭に混ぜて使うなどの方法が取られています。実証実験の結果、木質バイオマスを石炭に混ぜても正常に発電することを確認されています。バイオマスの分だけ石炭の使用量を減らすことができ、わずかな混焼率でも、CO2排出量を削減できます。
バイオマス単独では発電用として十分な量にならない場合でも、石炭と混焼させれば有効な再生可能エネルギーにすることができます。
インドネシアやマレーシアは、「パームヤシ(PKS)」を多く生産する資源国家で、多くの「パームヤシ(PKS)」を輸出しています。
アブラヤシ(パームヤシ(PKS))の果実から得られる植物油がパーム油ですが、これらの油を採った後に、多くの廃棄物が出ます。
パーム油残渣は廃棄物として排出され、更にアブラヤシ(パームヤシ(PKS))の木はおよそ25年間隔で植え替えられますが、伐採されたパーム古木が大量に発生しています。
パーム古木の幹には大量の樹液が含まれていて、その中にはグルコースなど発酵性糖が豊富に含まれていることが判明しています。
マレーシアでは油以外の廃棄物が多量に排出されるものの、これらは貴重なバイオマス資源でもあります。
マレーシアのパーム油産業から排出される廃棄物は膨大な量になり、これら全ての廃棄物を再利用すると、巨大な再生可能エネルギーとなります。
これらの廃棄物は、再生可能エネルギーとして有効活用することによって貴重な資源にもなり、ビジネスとしても成り立つため、日本だけでなくマレーシアなどの資源国家も再生可能エネルギーの活用に力を注いでいています。