ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)の乾燥について

ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)とは、トウダイグサ科で主な原産地は原産地は中南米、主な栽培地はアフリカ・インド・東南アジアで、バイオディーゼル燃料の原料、薬用、緑化、防風林として利用されている植物です。

ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)の特徴としては、
■高さは2〜5m程度になる低木または小高木。
■乾燥地でもよく育ち、痩せた土地にも強い。
■種子には油分が豊富で、バイオ燃料（バイオディーゼル）**の原料として注目されている
などの特徴があります。全体的に有毒成分（特に種子に「フィシン」や「クルカシン」など）を含むため、人や動物には基本的に食用不可な植物です。

ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)の種子から搾油して得られる油は、精製すると自動車やディーゼル発電機で使えるバイオディーゼル燃料に変換できるため、環境に優しい再生可能エネルギー源として、2000年代に多くの発展途上国で栽培が推奨されました。

ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)の問題点・課題としては、
■実際は収穫量が安定しない
■耕作・収穫に人手がかかる
などの問題点・課題があります。商業的に失敗したプロジェクトも多く、現在は研究・実証段階にとどまる国もあります。

学術的には約170種ほどのジャトロファ属植物が存在し、花は美しく、観賞用に栽培される種もあります。

ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)のバイオマス燃料としての可能性は、以下のように「理論的には有望だが、実用化には課題が多い」というのが現状です。

＜ポテンシャル（理論的な可能性）＞
■高い油分含有量
■種子の油分含有率は30〜40％と非常に高く、ディーゼル燃料に適した特性を持つ。
■精製（トランスエステル化）によって、バイオディーゼル燃料（BDF）に変換可能。

＜非可食作物＞
■トウモロコシや菜種と異なり、食用でないため食糧との競合が少ない。
■貧しい土壌や乾燥地でも育ち、耕作地の転用リスクが小さいとされる。

＜炭素ニュートラル性＞
■ジャトロファ由来の燃料は、植物が成長時に吸収したCO₂を燃焼時に排出するため、CO2排出量の実質ゼロ（カーボンニュートラル）が期待される。

ジャトロファ(ナンヨウアブラギリ)の実用化上の課題と限界は以下になります。

＜収量の不安定さ＞
■土壌・気候に左右されやすく、初期予測ほどの収穫が得られないことが多い。
■品種改良が不十分で、安定的・高収量の栽培技術が未確立＞

＜栽培・収穫のコスト＞
■手作業による収穫が必要で、大規模機械化が困難。
■働集約的で、生産コストが高くつく。

＜精製技術とインフラ＞
■搾油やバイオディーゼル精製に特別な設備や技術が必要。
■開発途上国で導入されることが多いが、加工インフラが未整備な地域も多い。

＜有毒性によるリスク＞
■全体に有毒成分を含むため、栽培・処理時の安全対策が必要。
■搾油かすの利用（肥料・飼料など）にも制限がある。