バイオマスとは、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」を指します。バイオマスの種類としては、廃棄物系バイオマス・未利用バイオマス・資源作物などがあります。
廃棄物系バイオマスは、下水汚泥・廃棄される紙・家畜の排せつ物・製材工場残材、などが挙げられます。未利用バイオマスは麦わら・稲わらなどが、資源作物としてはさとうきび・トウモロコシなどが挙げられます。
バイオマスから得られるエネルギーのことをバイオエネルギー、またはバイオマスエネルギーとも言います。バイオマスは、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスのひとつであるCO2の排出削減に大きく貢献することができると考えられています。温暖化問題・廃棄物問題などの観点から、バイオマスの活用はきわめて重要であると考えられます。
バイオマスは,生物資源(バイオ/bio)の量(マス/mass)をあらわし,エネルギー源として再利用できる動植物から生まれた有機性の資源である.また,石油や石炭などの化石資源と対比して,「生きた燃料」ともいわれています。
バイオマスエネルギーは,地球規模で見てCO2 バランスを壊さない(カーボンニュートラル),永続性のあるエネルギーです。単に燃やすだけの熱利用から,発電,化学的に得られたメタンやメタノールなどの自動車用燃料としての活用まで,利用分野が広がっています。
バイオマスの種類は多種ありますが,大きく分けると廃棄物系,逆有償の処分義務が伴わない未利用系,エネルギー利用することを目的にした生産系の3 つに大別できます。活用可能な資源は大量に存在していますが,分散しているため収集・輸送コストがかかることが課題です。また,そのままでは利用できないため前処理が必要となります。なお,ブラジルなどの海外では,サトウキビからエタノールを生産しガソリンの代わりに燃料として用いられ,ヨーロッパやアメリカでは,間伐材からの木質系バイオマスを熱利用あるいは発電利用として取り入れることに力を入れています。
18世紀後半の産業革命以来、我々の生活は、石油・石炭などの化石資源に大きく依存してきました。しかし、化石資源に依存した大量生産、大量消費、大量廃棄を続ける社会経済システムは、地球温暖化の深刻化や、廃棄物、有害物質などの増加といった様々な環境問題を引き起こしてきました。これらの問題に対しては、様々な取組みが進められていますが、こうした取組みに加えて、限りある資源やエネルギーを持続的に活用する循環型社会の構築が地球環境保全の課題となっています。
このような中、動植物を起源とする再生可能な有機性資源であるバイオマスが注目されています。飼料、肥料、石油化学系素材に替わる素材など様々に活用することができるうえ、燃焼させても大気中の二酸化炭素を増加させないとみなされる特性(カーボン・ニュートラル)から、再生可能エネルギーとしても期待されています。
また、バイオマスを活用することで廃棄物が減らせること自体が環境にとって良いことであり、さらに、地域が一体となった活用を推進することにより、新たな環境産業の育成、農山漁村の6次産業化に資することができるため、今後の技術開発などにより、活用の可能性が大きく広がることが期待されています。
日本では、「バイオマス活用推進基本法」が施行され、今後取り組むべき施策の基本的方針などを定めた「バイオマス活用推進基本計画」を策定されました。この計画では、日本が達成すべき目標として、2020年(平成32年)を目標年次とし、①600市町村においてバイオマス活用推進計画の策定、②バイオマスを活用する約5,000億円規模の新産業の創出、③炭素量換算で約2,600万tのバイオマスの活用などをあげています。
バイオマスは、「動植物に由来する有機性資源」であり、その多くは「地域に広く薄く存在する」という特性があります。活用するうえでは、その特性から、発生量の変化、収集・運搬、製造などにかかるコストの2点が特に大きな課題となっています。
バイオマスは、自然的要因、時期的要因などによって発生量が一定ではありません。農林水産業から発生するものは、収穫時期や気候の影響などにより発生量が大きく変化する場合があります。また、製造業において発生するものは、工場の操業度や事業活動によって増減することがあり、景気の好不況の影響を受けることも少なくありません。発生量の変化に伴って、製造した燃料や製品などの供給量が増減し、安定供給ができないため、製造設備の運用や需要先の確保が難しくなっています。
多くのバイオマスの「地域に広く薄く存在する」という特性から、資源として活用するために一定量を収集し、運搬するにはコストがかかることが大きな課題となっています。また、石油から製品を製造する場合などに比べると、活用する場合には、適正な分別の後、複雑な工程で製品化することが多く、製造に要するコストも大きくなる場合が多くなっています。さらに、製造工程から発生する廃水及び残さなどを処理するコストも発生するため、活用製品の価格が一般的に高くなり、普及が進まない要因となっています。
バイオマスの活用例として、製紙汚泥は大手製紙工場のエネルギー源として熱利用され、焼却灰は一部路盤材などに活用されている。下水汚泥は、これまで活用されることなく埋立処分されるケースが多かったのですが、今日では、一部が建設資材(セメントなど)や肥料などとして活用されています。 近年、下水汚泥を造粒・炭化し、燃料として活用する事例がみられることから燃料化への期待が高まっています。
その他の活用例としては、バイオエタノール、バイオディーゼル燃料、木質ペレットなどのエネルギーとして活用する取組みが行われています。これらの取組みについては、広域化、利用設備の普及などを進め、バイオマスのエネルギーへの活用の一層の進展が期待されます。
環境問題に対する意識の高まりや、エネルギー政策の転換などの動きを背景にして、バイオマスエネルギーへの関心と必要性が高まっており、新たな取組みとして、藻類からのバイオディーゼル燃料製造、下水汚泥のエネルギー活用、食品廃棄物などからのバイオガス生産などについて、技術動向を勘案しながら効果的な推進方法や導入の可能性が期待されます。
(参考)「NEDO 再生可能エネルギー技術白書」・「愛媛県バイオマス活用推進計画」